農業者の所得増大の実現にむけた数値目標と達成状況
第8次中期3か年計画(令和元年~令和3年)は、県下JAグループの3年間の共通方針として「協同の力で農業と地域を未来につなぐ」を掲げ、当JAでも「農業者の所得増大の実現」「協同による地域の活性化への貢献」「総合事業機能発揮のための経営基盤強化」に向けた自己改革の達成を目的に策定しました。その目標の1つである「農業者の所得増大の実現」に向けた令和元年度(第1年度)の結果をお知らせいたします。
【農業者の所得増大の実現に向けた公式】
1.生産規模(面積・数量)
生産規模の拡大による農畜産物の生産量増加を目指し、当JAは飛騨地域農業再生協議会との協調の下、飼料用米から主食用米への作付誘導を行い、作付面積を1,585haに拡大しました。さらに水田活用の直接支払い交付金(特産化作物取組)の活用を促し、多くの特産品目で作付面積を拡大(あぶらえ0.64ha、かぼちゃ0.13ha等)しました。また飛騨牛繁殖研修施設(ひだキャトルステーション:子会社運営)では、子牛の生産頭数が目標より2頭不足したものの概ね計画通りに進んでいます。
一方で、子会社で実施している水田受託・農作業受託については、丹生川以外の地域への拡大につながっておらず、今後は作業員の増員や効率化を図り、受託面積の拡大を目指します。
項目 | 行動計画 | 指標 | 目標値 | 第2年度(令和2年度)達成状況 | |||
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第1年度 | 第2年度 | 第3年度 | 実績値 | ||||
生産規模 (面積・数量) |
コシヒカリ栽培可能地域での積極的な作付転換誘導 | コシヒカリ作付面積 | 1,548ha | 1,558ha | 1,568ha | 1,562ha | 達成 |
メリハリのある特産作物交付金確保と作付の拡大 | 特産作物面積 | 45ha | 47ha | 50ha | 47.5ha | 達成 | |
(農業生産法人)拡大ターゲット地区での事業展開 | 他地区受託面積 | - | - | 2ha | - | 取組中 | |
(ひだのきゃとるステーション)出生頭数の確保 | 出生頭数 | 16頭 | 76頭 | 76頭 | 51頭 | 未達成 |
2.単位収量及び品質
当JAでは品質の向上による飛騨のブランド力向上を目指しており、米穀では「飛騨の美味しいお米・食味コンクール」の開催及び食味向上につながる栽培ポイントの情報発信、園芸では目ぞろえの実勢による品質の統一に継続して取り組んでいます。さらに、当JA施設での精米におけるHACCP認証の取得に向けて施設整備及び手続の制定を進めています。
一方、JAと農業者の情報交換・相談対応を目的とした「TAC訪問活動」については、訪問頻度が目標に達しておらず。今後、営農指導面のみならず、金融(資金)面とあわせた訪問活動・サポートを実施し、組合員の皆さまの「農業者の所得増大の実現」に向けた信頼関係を築いていきたいと考えています。
項目 | 行動計画 | 指標 | 目標値 | 第2年度(令和2年度)達成状況 | |||
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第1年度 | 第2年度 | 第3年度 | 実績値 | ||||
単位収量および品質 | 飛騨の美味しい多めコンクールの開催 | 年間回数 | - | - | - | 1回 | 達成 |
食味80点未満者への個別技術指導(米コン後12月) | 指導戸数 | 52戸 | 48戸 | 44戸 | 89戸 | 達成 | |
飛騨のこめ:食味向上特別号の発刊 | 年間発行数 | 1回以上 | 1回以上 | 1回以上 | 1回 | 達成 | |
TAC訪問活動による担い手農業者 ニーズのが開くと提案活動の実施 |
平均訪問回数 | 6回以上 | 8回以上 | 10回以上 | 平均訪問回数 8.8回 |
達成 | |
精米HACCP導入に伴う改善調査および回収 | - | 改善調査・改修 | 導入・運用 | 導入・運用 | 導入・運用(精米HACCP認証取得) | 達成 | |
(ほうれんそう)部会との連携による目揃え・検査実施 | 実施回数 | 3回 | 3回 | 3回 | 3回 | 達成 | |
(トマト)選果パート・担当職員ん尾定期的目揃え実施 | 実施回数 | 4回 | 4回 | 4回 | 4回 | 達成 | |
(しいたけ)担当職員の定期的目揃え実施 | 実施回数 | 4回 | 4回 | 4回 | 4回 | 達成 | |
飛騨こしひかり良食味米の安定供給による実需者信頼確保 | 良食味米平均点数 | 良食味米平均80点以上 | 良食味米平均81点以上 | 良食味米平均82点以上 | 良食味米平均80.6点以上 | 未達成 |
3.販売単価
販売単価の向上による農業所得向上のため、当JAでは専門部署による新規販売先の開拓を重点的に取り組んでおり、営業先企業数や商談件数、直接販売取扱量の実績を伸ばしました。
一方で、飛騨こしひかりや輸出における飛騨桃など、組合員の皆さまの意向を踏まえつつ、販売の方向性を検討してまいります。
なお、トマトについては、値決め契約販売による販売単価の底上げを実施するとともに、アイテム出荷の柔軟な対応をすることにより、販売単価の向上に努めました。また、ほうれんそうの事前相対販売に取り組むこととしていましたが、市場への安定供給による有利販売との比較を重ね、現時点では実施を見合わせています。
項目 | 行動計画 | 指標 | 目標値 | 第2年度(令和2年度)達成状況 | |||
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第1年度 | 第2年度 | 第3年度 | 実績値 | ||||
販売単価(金額) | 飛騨牛・飛騨旨豚の加工商品の開発・拡販 | 商品開発数 | 1商品 | 1商品 | 1商品 | 2商品 | 達成 |
飛騨牛枝肉1頭買い頭数の拡大 | 年間1頭買い頭数 | 56頭 | 60頭 | 64頭 | 72頭 | 達成 | |
オリンピック需要を契機とした関東圏への催促(営業)の実施 | 営業先企業数 | 5企業 | 10企業 | 15企業 | 5企業 (首都圏JA含む) |
未達成 | |
フェア・商談会、営業活動による商談 | 商談件数 | 10件 | 10件 | 10件 | 16件 | 達成 | |
首都圏における飛騨こしひかり試食販売・ 活動 | 試食販売実施回数 | 20回 | 20回 | 20回 | 3回 | 未達成 | |
(青果物)営業。商談・取引スキルの工場と、直販取扱量の拡大 | 直接販売取扱量 | H30年度比110% | H30年度比120% | H30年度比130% | H30年度比243% | 達成 | |
(ほうれんそう)事前相対販売の拡大 | 相対販売回数 | 20回 | 20回 | 20回 | 販売方式の見直し※ | - | |
(ほうれんそう)重点販売先との販売連携による有利販売 | 会議・産地巡回回数 | 15回 | 15回 | 15回 | 15回 | 達成 | |
(トマト)アイテム増産による下位等級格価格の底上げ | アイテム率 | 7% | 9% | 10% | 20% | 達成 | |
(トマト)契約率・契約価格の協議実施 | 延べ会議開催回数 | 20回 | 20回 | 20回 | 20回 | 達成 | |
(しいたけ)シーズン契約販売の実施による売場確保と価格の維持向上 | 契約率 | 10% | 12% | 15% | 20% | 達成 | |
(桃)香港への輸出拡大 | 出荷数量/箱 | 350箱 | 400箱 | 500箱 | 234箱 | 未達成 | |
(米)担い手等でJA未出荷者を把握し、新契約方式による主家の拡大推進 | JA出荷件数 | 5件 | 10件 | 15件 | 5件 | 未達成 | |
(コシヒカリ)新契約方式による実需要者との連携した有利販売 | - | 買取方式の検討 | 実需者交渉・契約 | 実需者交渉・契約 | 実需者交渉・契約 | 未達成 | |
(コシヒカリ)改良組合等との連携による品種誘導(JA集荷への誘導) | コシヒカリ必要集荷量確保 | 前年10%増 | 前年15%増 | 前年20%増 | 前年10%増加 コシヒカリ集荷量 42,582俵 |
未達成 |
※事前相対販売の方向性から、昨今の市場動向に柔軟に対応できるよう量販店と連携して売場を確保した上で、市場への安定供給による有利販売への取り組みに変更しました。
4.生産コスト
生産コスト低減につながる技術や資材の紹介・提供による貢献を目指し、肥料(8品目)・農薬(26品目)の「地域最安値(飛騨地域の商系業者・ホームセンター等との比較)」での供給、米のフレコン集荷への対応などを実施しました。また、令和2年2月には営農資材店舗(アグリ店舗含む)でのキャッシュレス決済を導入し、組合員の皆さまの利便性を高めております。
また、目標達成には至りませんでしたが、作業の省力化に向けた提案として、集約銘柄肥料「水稲一発Mコート855」の検証試験、「夏秋トマト隔離型培地耕(3S)システム」や「高性能ラジコン草刈り機」の提案、密苗の利用促進なども実施しました。労働人口の減少が続く中で農作業の省力化は避けて通れないものであることから、導入等のコストと作業効率のバランスを考慮した新技術の提案を引き続き実施し、生産コスト低減に向けて取り組んでまいります。
項目 | 行動計画 | 指標 | 目標値 | 第2年度(令和2年度)達成状況 | |||
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第1年度 | 第2年度 | 第3年度 | 実績値 | ||||
生産コスト (金額・作業量) |
コスト低減水稲栽培体系のモデル指標づくり | モデル指標構築 | 指標協議・実証計画 | 実証試験 | 推進・提案 | R2年度試験実施 肥料:10銘柄 農薬:11銘柄 |
未達成 |
トマトの地力窒素によるコスト低減モデル栽培体系の構築 | モデル指標構築 | 指標協議・実証計画 | 実証試験 | 推進・提案 | 地力窒素測定 43点 (トマト生産圃場) |
達成 | |
ホウレンソウのキルパー土壌消毒技術の実証・普及 | 実施農家数 | 現地情報収集 | モデル実証 | 普及推進 | 取組農業者 5戸 (キルパー散布混和機貸出) |
達成 | |
アグリシードファンド利用促進提案による担い手経営隊の支援強化 | 実行件数 | 年間1件 | 年間1件 | 年間1件 | 年間0件 | 未達成 | |
「農機具等購入助成制度」の提案による経営効率化 | 実行件数 | 年間30件 | 年間30件 | 年間30件 | 年間27件 | 未達成 | |
営農灯油利用高値引き額の拡大 | 値引額 | - | △5円/ℓ | △5円/ℓ | △5円/ℓ | 達成 | |
価格調査の強化 | 地域最安値品目数 | 30品目 | 40品目 | 60品目 | 40品目 | 達成 | |
「いつでも割引」による価格の見える化 | 対象者数 | 割引率見直し | 1200名 | 1250名 | 1,176名 | 未達成 | |
キャッシュレス決済の導入 | 導入店舗数 | 4店舗 | 5店舗 | 全店舗 | 18店舗 | 達成 | |
銘柄集約肥料の検証による実現 | 検証試験数 | 3品目 | 5品目 | 5品目 | 1品目 | 未達成 | |
JA独自の魅力ある商品の展示と新技術の紹介 | 新技術紹介数 | 3件 | 3件 | 3件 | 2件 | 未達成 | |
大口農家を対象としたお得な大型規格農薬の発信 | アイテム数 | 8品目 | 10品目 | 10品目 | 19品目 | 達成 | |
(共同購入トラクタ)大型農家や法人への訪問推進 | 訪問推進件数 | 10件/人 | 10件/人 | 10件/人 | 8件/人 | 未達成 | |
(農機)補助事業活用該当生産者への推進 | 推進件数 | 10件 | 10件 | 10件 | 24件 | 達成 | |
ほうれん草作業効率化農業機械の推進 | 生産者訪問推進件数 | 5件/人 | 5件/人 | 5件/人 | 9件/人 | 達成 | |
(施肥・防除関連農機)大型水稲生産者への推進 | 生産者訪問推進件数 | 5件/人 | 7件/人 | 7件/人 | 7件/人 | 達成 | |
(CE・RC)フレコン出荷への対応強化と入出庫作業の効率化 | 担い手出荷者推進件数 | 30件 | 40件 | 50件 | 31件 | 未達成 | |
担い手農家の密苗利用推進 | 担い手農家数 | 5件 | 10件 | 15件 | 9件 | 未達成 |
5.流通販売経費
全ての業界で流通コストが上昇しているなかで、当JAでは組合員の皆さまの経費負担軽減を図るため、運送業者との検討会を毎月実施し、同一トラックでの多品目を組み合わせた輸送やパレット輸送などの効率化の取り組みを行った結果、流通経費削減(増加の抑制)を実施しました。
項目 | 行動計画 | 指標 | 目標値 | 第2年度(令和2年度)達成状況 | |||
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第1年度 | 第2年度 | 第3年度 | 実績値 | ||||
流通販売経費 (金額) |
青果物輸送会議による課題検証と改善の実施 | 会議開催回数 | 2回 | 2回 | 2回 | 12回 | 達成 |